「湘南いきもの楽校水ガキ養成講座」     海のお魚調べ

●相模川を丸ごと楽しむ

8月31日、ひらつかタマ三郎漁港で子どもを対象にした海のお魚調べを実施した。
平塚市漁業協同組合の協力で実現した。
水ガキ養成講座はまだ途中だが、源流域での皮むき間伐体験と清流の生き物調べ、中流域でのカヌー体験と魚採り、下流域での川の自然楽校、そして今回の海の生き物調べと、相模川を丸ごと楽しんでいる。
全部の企画に参加できた子、そうでない子、いろいろだが、最大の収穫は子どもたちのあふれる笑顔に接することができたこと。

自然との触れ合い、生き物との出会いが、如何に大切かを知る旅となった。

 

 

●1日で81種観察

海のお魚調べでは、定置網漁で獲れた魚、子どもたちが港内で捕獲、見たもの、夜の集魚灯に集まったものなど、1日で81種となった。
暮らしの近く、ひらつかタマ三郎漁港にたくさんの生き物がいることを知った。
これは、講師、手良村知功さん(東京大学水産実験所修士2年)のおかげ。
先生無くして今回の企画は成立しなかった。
魚に対する愛情、豊富な知識、話術が子どもたちを惹きつけた。

 

 

●ミニミニ水族館

水槽の中はカワハギやサザナミフグ、ニジギンポ、オヤビッチャなどの稚魚であふれた。
見ているだけで楽しい。でも、子どもたちは見ているだけではダメ。とにかく触りたい。飽きずに水槽に手を入れている。
お魚にはしばし我慢してもらった。
魚釣りに訪れた市民も覗いていく。
釣り上げた魚の種類を聞きに来る人、釣った魚をくれる人、釣竿を持たしてくれる人など、魚と子どもたちが人と人をつないだ。

 

 

●夜の生き物に魅入る

圧巻は夜の生き物調べ、スポットライトで海を照らしているとプランクトンが多数水面に集まる。筋になって、たなびく。
それを狙って小魚が集まる。アンドングラゲの長い触手がユラユラ。みんなを惹きつける。幻想的だ。魚の群れが目の前をよぎる。
シラスやシラスウナギ、イカの赤ちゃんも登場する。
はしゃぐ子は一人もいない。みんなじっと海をみつめる。
あっという間に時間が過ぎる。心に残る体験になったようだ。

 

 

 

●魚も採れたが、ゴミもいっぱい。「ゴミは捨てない」の声も。

最後に、魚採りは流れ藻の下を探るが、港内にあるゴミもいっぱいすくってしまう。
子どもたちから「きたない」「お魚がかわいそう」「ゴミは捨てない」との声があがった。
藻は海に返すが、ゴミは陸にあげる。
毎年、ゴミ拾いを実施しているが、こんなシーンは見たことがない。
ゴミが自分ごとになった瞬間を見たような気がする。

 

●港内のお魚調べは満潮時、ライフジャケットが必着。

とても魅力的な観察会だが、生き物に詳しい講師が欠かせない。
毒を持つ生き物のことをアナウンスする。
水面との距離が近い満潮時に実施すること。干潮時では網が届かない。
ライフジャケットは必着。
木の浮き輪を用意する。スタッフは見守り隊に専念するなど、最新の注意が必要である。
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「地域環境保全功労者」として、NPO法人 暮らし・つながる森里川海」が表彰されました。

6月12日、原田義昭環境大臣より「地域環境保全功労者」として、NPO法人
暮らし・つながる森里川海」が表彰されました。
私たちの目標は「地域の自然環境の保全」「いい川づくり」「子どもたちを野
に戻す」の三つ。いずれも道半ばですが、活動が評価されたことは嬉しい限り
です。前に進む活力をいただけました。
これもご支援をいただいている皆様のご尽力の賜物と厚く御礼申し上げます

ありがとうございます。P6120012 (1)

報告:公開講座「平塚の海を考える」

「海のものは海のもの。人のモノにすると海が取り返す」宇多高明先生

 

 5月2日、「公開講座・平塚の海を考える」を開催しました。龍城ヶ丘プール跡地の整備問題について、現状を知ろうと企画しました。

 人が集まるのかと心配しましたが、杞憂に終わりました。60名余の市民が集まり、より良い平塚海岸の在り方について、学び、意見交換しました

 当日は海洋土木の第一人者「宇多高明」先生(一般財団法人土木研究センターなぎさ総合研究所長)をお招きし、平塚海岸の現地視察とひらつか市民活動センターでの講義の二本立てて実施しました。

 前段では、相模川河口部の侵食や海岸線の侵食の状況を学びました。宇多先生は今回の催しに先駆け、4月13日に大磯海岸から相模川まで歩き、最新の知見を基に、平塚海岸の侵食の現況や砂の動き、防災や減災、自然と人との関わり方について講義されました。「人間は汀線を埋め立てて開発や手をくわえてきたが、高潮や津波など、災害は減らない、養浜に関しても砂浜に手を加える際には『海は自らの位置を記憶している』という点を認識した上で関わるようにしていく必要がある」。開発に関しては、「先ずは海岸の現状を知ることが大切。その上でYESNOの判断をする必要がある。平塚の海岸は数千年かかってできている。砂浜は日本の資源。自然のことをよく認識しないと災害を招く」(要旨)と力説されました。

 現在、龍城ヶ丘プール跡地の開発計画が進行していますが、今回の講義で「海岸線の侵食問題、高潮・飛砂問題、遊べる海岸線が狭い」など、自然環境の保全、防災、減災問題への対応が優先されることを知りました。

 平塚海岸は自然からの預かり物です。未来の子どもたちにより良い渚環境を残していくためには何をすべきなのかじっくり考えようではありませんか。

  詳しくは「宇多高明先生講演の要旨」及びユーチューブをご覧ください。

平塚の海を考える:講演1 https://youtu.be/sSpkjiDLuLg

平塚の海を考える:講演2 https://youtu.be/VW5QYPtxuJo

平塚の海を考える:講演3 https://youtu.be/oWnoPmaD6Rk

宇多高明氏講演の概要

 

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侵食が著しい相模川河口。ここにはかって、潮が引くと広さ5haの干潟が形成され、多くの野鳥が渡来した。ここで記録された野鳥は190種を超える。 相模川河口の自然を守る会が干潟の保護運動を展開したが、汀線が50メートル以上後退し、2000年頃、干潟は無くなった。
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平塚海岸の砂浜は1954年比で最大45m後退している。かっては相模川から流れてきた砂により砂浜が形成されたが、平塚新港の建設により、現在は川からの砂は一切、海岸に運ばれていない。東の新港と西の大磯港により、漂砂が遮断されたポケットビーチ化している。かっての海岸に戻すためには養浜が必要である。海岸は南西からの風が強く、写真のように砂が堆積する。 クロマツ林は100年ぐらい前から植えられた。一程度の面積がないと風や漂砂は防げない。
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龍城ヶ丘プール跡地。海岸線との距離が近く、防砂林がないため。南西から砂が侵入している。 平塚市は南北60m、東西500m、30,000㎡に公園施設を建設しようとしている。駐車場や芝生広場、飲食施設などを作る計画。防砂林が伐採される恐れがある。 海岸線の侵食や台風等の高潮による侵食、強い南西からの風による飛砂問題、津波問題等、公園整備以前に対応しなければならない問題が山積している。

公開講座「平塚の海を考える」

平塚市が龍城ヶ丘プール跡地周辺で、公園整備計画を進めています。
南北50m、東西600m、面積30,000㎡の防風林が切られ、駐車場や芝生広場、売店の設置などが検討されています。
一方で、平塚海岸は海岸の侵食問題や高潮による侵食、津波対策、生物多様性の保全など、開発以前に対応しなければならない問題が山積されています。
海洋土木研究の第一人者、宇多 高明先生をお招きし、平塚海岸の現況や保全策等について学びます。
消えゆく砂浜の保全に向けて、何が必要なのか、いっしょに考えませんか。
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・・・進めようウナギの棲む川づくり・・・ すごいぞ!石倉カゴ&間伐材漁礁 ウナギやカワアナゴ、テナガエビがゾロゾロ

ウナギの棲む川づくりに取り組んでいます。
馬入水辺の楽校に住み処となる多孔質空間「石倉カゴ」と「間伐材漁礁」を設置し、その有効
性を調査しています。

 


結果が良好であれば、川の護岸等での設置を提案しようと思っています。
調査活動は昨年5月以来の2回目となります。
雨が降り、肌寒く、手がかじかむ悪条件でしたが、前回調査も好結果だっただけに、何が入っ
ているか期待に胸が膨らみました。
大人も子どももワクワクドキドキ。熱中お魚調べとなりました。

 


結果はワンダフル。ウナギ9匹、カワアナゴ14匹、でっかいモクズガニ11匹、テナガエビ
類134匹など、たくさんの生き物が捕獲され、その有効性が実証されました。先人の静岡県
の庵原川では設置が進んでいます。負けじ劣らず行政や漁業関係者に設置促進の呼びかけを実
施していきます。